「あ!なのはちゃん、フェイトちゃん!後でちょっとええか?」
そうはやてに声を掛けられたのは、ホールでの挨拶が終わってすぐの事だ。
到着の挨拶は既に済んでいるし、思わず2人揃って首を傾げてしまう。
部屋のブザーを鳴らして入ると、先客がいたようで、小さな影が自分たちの瞳に映った。
「え?」
「……お名前(女)?」
思ったことは、フェイトも一緒のようで。
目の前にいる少女をまじまじと、穴が空きそうな程に見つめる。
髪型や魔力の波動も違和感がないほどに、一緒だった。
――そう、8年前に死んだはずの名字お名前(女)に。
「2人とも驚くのはわかるで?紹介するな、あたし達が知ってるお名前(女)や」
少し苦笑いしながら紹介するはやては、この事実を以前から知っているようだった。
主に釣られたように、リィンも苦笑いしているのがわかる。
「えっと……初めまして、名字お名前(女)です」
同じ声で、他所他所しく挨拶するお名前(女)を見て、私の中で何かがきれた。
「嘘だよ!だって、お名前(女)ちゃんは、あの時私を庇って!!……貴方は誰なの!?」
思いっきり、肩を掴む。
瞳を覗けば綺麗なオッドアイで、深い海色と赤紫色が瞬きを繰り返す。
それを見て、少しだけ安心した自分がいた。
「待って!なのは」
「フェイトちゃん……」
肩から手を下ろすと、
「はやてちゃん、これはどういうことなの?」
なのはは呟いたが、誰が見ても動揺しているのがわかる。
完全に自分から手が離れたことを確認すると、お名前(女)は、なのはと一歩距離を取られた。
「つい数ヶ月前の事や、お名前(女)を保護したんは……。検査の結果、遺伝子は生前の名字お名前(女)と完全一致。
何者かにクローン培養されたことが判明した。
決定打は保護された時に一緒に埋葬された筈のヴァルキュリアが復元された状態で所持していたことや。
ただ……生前の記憶はないみたいで――」
それ以上は言わずとも、察することが出来た。
咄嗟にあやす様に、頭を撫でる。
「さっきはごめんね。私は高町なのは、幼馴染だよ!」
「私はフェイト・T・ハラオウン」
「よろしく。なのは、フェイト」