Betelgeuze

ベテルギウス(Betelgeuze)
何光年という時をかけ、その輝きはあなたの元へとやってくる。
あの人がいる世界でも、その輝きは生きとし生ける存在の瞳に届くだろう。

管理人の好きなジャンルを「冬」をテーマに1話完結型で書いていくWEB拍手でのプチ企画です。
ノーマルカップリング・ボーイズラブが混合しておりますので、注意事項をご確認の上、閲覧をお願い致します。
 

貴方のオイシイ唇

NARUTO|うちはサスケ×うずまきナルト

*ややスレナル暗殺部隊設定

「サスケ、さみー……」
ナルトがコタツから少し身を乗り出しながら呟く。
すると視線をTVから逸らさぬまま、サスケは「暖房つければいいだろ」と答えた。

数日もすれば、年が明け、次の年が始まる。
暗殺部隊や特殊な任務に以外の忍は大半は家族と過ごす。
それはナイトやサスケも例外ではなく過ごす家族がいれば、の話だろうが――。

カカシに冬休みを告げられてから、ナルトは永遠とサスケの家に居座っていた。
朝起きたらサスケが食事を作る間に、庭に植えてある松ノ木に手裏剣やクナイを叩きつけて。
朝食後はふらりと出かけて夕方、遅くても夜7時前には必ずうちは宅に帰ってくる。
それを永遠と冬休み明けまで行うのだ。
これはアカデミーに入る前から今に至るまで毎年恒例の行事と化していた。

「雪は綺麗だけど、寒いし、暇だし。冬って本当にロクなことねぇってばよ」
「3代目に言って、仕事でも何でも入れてもらえばいいだろう」
サスケはナルトが暗殺部隊に席を置いていることを知っている同年代で唯一の人間だ。
「サスケってばそういうこと言うんだ」
ベー!と舌を出したナルトを見て、咄嗟にサスケはペロリとその舌を一瞬だけ舐める。
少し渇いた独特の舌触りがお互いに残る。
「もっと……――ん」
襲い掛かるように乱暴にキスをすると、ナルトは静かに眼を閉じた。

(ずっと、お前が真実を知らないままなら良いのに……)

くれるならあの人を頂戴よ!

ギルティギア|カイ×ディズィー

「ねぇねぇ、あれ買ってー!」
子供がウィンドウ越しに指差して父親と母親は嬉しそうに微笑む。
そんな光景を見たら微笑ましくて、ディズィーの顔も優しくなった。

ここ数ヶ月で通いなれた家だが2回ほど呼び鈴を鳴らしても返事がないので
「カイさんー、入りますよ?」
と、一言声をかけて合鍵で家にあがる。
家は相変わらず静かで書斎以外はきちんと片付いている。
書斎はディズィーが協力を申し出でからというもの、資料が山積になりつつある。

「カイさん、こんにちは」
「ディズィー……合鍵があるのだから、もう呼び鈴はいらないだろう」
書斎に入ると直ぐカイがこう切り出すのはもう珍しいことではない。
カイの家に何ヶ月も通っているとはいえ、ディズィーからすると助けてもらってる立場でズカズカ人様の家にあがるのは申し訳ない気がしてならないのだ。
「確かにそうですけど……。あ、カイさんはサンタさんがいるって信じてますか?」
再びカイは視線を本からディズィーに移し、突然どうしたといわんばかりに見つめた。
「今日ジョニーさんからサンタさんの話をしてもらったんです」
床に散らばった紙を拾い上げていく姿はとても嬉しそうだ。
「もしサンタさんがいるなら、お父さんに会ってみたいと思って……」
それはまだ3年(あと数日で4年になるが)しかこの世界を生きていない彼女の唯一の願い。
癖のペン回しをしながら聞き入っていたカイだが、ディズィーに何かを手渡す。
「何ですか? これ」
「クリスマスも大事だが……もう少しでディズィー、君は誕生日だろう」
「あっ! ありがとうございます!」
当の本人はすっかり忘れていたようで、小さな箱を静かに開けるとシルバーリングが輝く。
「指輪、ですか……」
「サンタではないからディズィーの望むモノは持ってこれない。が、これからは家族として共に生きていくことは出来る」
「――すごく嬉しいです!」
笑顔で返事をされてドキリとする。
少し俯きながら、カイは再び1回だけペンを回した。

口付けを残すぐらいなら。

BLEACH|市丸ギン×黒崎一護

外は雪が降り積もり、冷たい風が窓を強く打ち付ける。
吹雪とまではいかないものの、今朝学校に来る途中で転んだばかりだ。

今年も無事に冬休みに入った。
無事という例えはいささかおかしいものがあったか。
死神・朽木ルキアとの出会い、処刑を止める為に尸魂界潜入……他にたくさんありすぎて、思い出すだけで頭が痛くなる。
それはたった今、現在進行形だから尚更に性質が悪い。

年末休みで学校に登校することないというのに、肝心の課題を学校に忘れていた。
外はもう薄暗く天候の関係でほぼ明かりは無に等しい。
階段の明かりを灯し、ゆっくり階段を上りだす。
踊場を抜けて廊下が見える寸前――誰かが階段の一番上に腰掛けていた。
「遊びにきたで、一護ちゃん」
自分を“ちゃん”付けで呼ぶ人間など限られており、かつ関西弁はただ1人しかいない。
「ギン」
名前呼ぶと嬉しそうに笑う相手を見ると、溜め息がこぼれた。
「ボク、凍えてしまいそうやわ……」
「そんなコンクリートに座ってるからだろ!」
自然とうずくまる形で胸元に、飛び込むんできた一護の茜色の髪の毛を撫でる。
「馬鹿野郎。会いた――かった……」
「ごめんな。ボクもあないな形で再会しとうなかった」
それは過ぎてしまったことだというのに、掘り返す自分が醜いとさえ感じた。
「一護ちゃん」
優しく、ゆっくりと、額・頬・唇にキスされると、耐えられず瞳から涙が伝う。
「ギンの馬鹿」
「それはボクがよう知っとる」

([追いかけて][攫って]いければ、どれだけ幸せなのだろう?)

僕に祭りなんて関係ない

07-GHOST|アヤナミ→←テイト=クライン

*テイト、ブラックホーク所属設定

少し厚手の軍服に袖を通し、廊下を歩けば窓から肌寒い風が吹く。
それはブラックホークに舞い込む書類のように――。
クリスマスを恋人と過ごす為か……年明けを家族の元へ帰郷する為か。
どちらにせよ年末近くになると嫌がらせかというほどに溜め込まれた書類がやってくる。

今は時計が刻む音と、カリカリと執筆独特の音がBGM変わりだ。
つい先日アヤナミとヒュウガ、コナツは会議の為に第1区ホーブルグ要塞を発っていた。
他のメンバーはデスクワークに付いてるはずが、アヤナミ不在をいいことに上から暴動鎮圧を任せられ、クロユリとハルセは仕方なく遠出を強いられ……。
残りは2人、テイトとカツラギで永遠とデスクワークの日々を送っている。

午前から休憩なしに机に張り付いて、書類と睨み合いを続け、あっという間に午後2時だ。
「テイト君、少し休憩しましょうか。お茶を淹れてきます」
「あ、ありがとうございます!」
少し声を出しただけで喉に違和感を覚えた。
思えば朝食後は何も口にしていないのだと気づく。
カツラギ大佐が昼食を取らないとなると、階級では下にあたるテイトは立場がない。
それに普通に昼食を取るより、カツラギ大佐が淹れる紅茶の方がずっと落ち着いた。

(あの方は……アヤナミ様はどうしているだろうか。)
時折テイトはあの瞳に見つめると心を寄せつめない壁と同時に清んだ冬の夜空を思い出す。
透き通った紫色は、一瞬、紡ぐ言葉さえも忘れる。
「はいどうぞ、テイト君」
「お茶、ありがとうございます!」
香り漂う温かい紅茶と洋菓子を摘めば、顔が自然と緩む。
「そういえば先ほどアヤナミ様がもう少しで帰還すると連絡がありましたよ」
「そうですか!」
「なんでも、帰還後はすぐにテイト君とまた出かけるとか……」
「え?」
拍子抜けした声に、テイトとカツラギが顔を見合わせた。

繋いだ手が凍えた心を溶かした

BLEACH | 日番谷冬獅郎×黒崎一護

(何だこの書類の量は!)
12月中旬に差し掛かる頃、十番隊にはありえない量の書類が届けられた。
それを見た乱菊の眼は死んでいるようで――。
事務処理が早いといわれるこの十番隊隊長・日番谷冬獅郎でさえ、圧倒されるものだった。
ここ一週間は珍しく乱菊も仕事を抜け出すことは一切なかった。

「隊長ー! 終わりませんー、これ!」
「松本! 言う前に、手を動かせ、手を!」
「はあぁ」
短い溜め息をつくが、一番今日早く帰りたいのは冬獅郎なのだ。
今日は12月20日、祝われるべき誕生日なのだから。

夜8時を過ぎて仕事がひと段落すると、乱菊は先に帰させた。
ヘトヘトのようで、廊下で叫んでいるのか「酒ぇ~~! 酒もってこーい!!」と、部屋まで聞こえた時は、手を額に当てた。
夜10時まで粘った冬獅郎も今日はギブアップで帰路につく。
当然だが恋人である黒崎一護とは今日一回も会えてはいない。
先日、偶然死神代行の報告ついでに十番隊に寄った一護はこの状況を知っている。
一護は誰よりも優しく根が真っ直ぐだ。
だからこそ、いらぬ気遣いをしているのだろう。
こんなに自分の誕生日が大事なものだと、思い知らされた。

雪が降り積もる中、屋敷の門の前に、見慣れた黒い何かが蹲っている。
「……一護?」
「とーしろー?」
全身に積もりつつある雪をみれば、何時間前からここにいるのか想像がつかない。
「何やってんだ! こんな寒い中に、外にいる馬鹿がいるか!」
「でも。……冬獅郎、誕生日おめでとう」
潤んだ瞳と、冷え切った体に残るほんの僅かな体温。
「――ありがとな。ほら、風呂入るぞ」
冬獅郎はあえて、二人で、とは付け加えなかった。

(普段より強く手を握り締めれば、お互いに伝わる体温を分かち合える)

僕らだけの花見

ガンダムSEED|アスラン・ザラ×キラ・ヤマト

C.E.71に終結したと思われたナチュラルとコーディネイターの全面戦争。
月日を経っても人間は何も変わらぬことを示すように、2年経過した今も続いている。

荷物をせっせとダンボールに詰めていく。
アークエンジェルの私室には、短いと信じて旅立った時からの品が溜まっていた。
自分の素性を伝えた上で断り続けていたコーディネイターの評議会へと招かれるからだ。
しかも白服だと告げられた時は断固拒否し続けていたのは、知人でも有名な話となっている。
フリーダムのパイロットが鬼神の如く言われていることもあり、これ以下の色では示しがつかないそうだ。

「キラ!」
扉から入ってくるのは幼馴染のアスラン・ザラだ。
彼はカガリの元に戻り、補佐官になる予定らしい。
「アスラン……」
「相変わらず片付け駄目なんだな、お前はー」
そう言いながら、アスランは積まれている本の内容を見ての呆れようはすごかった。
中に混じっていた月のコペルニクス時代のアルバムを見ると少し微笑んでいた。
「わかってるなら、アスランも手伝ってよ!」
「それより、花見、行かないか?」
「え?」
キラは呆けた声と共に作業していた手を止めて、その体制まま机で表示されている電子時計に表示されていた日付を見つめた。

自分の感覚がおかしいのかと思ったがそんなはずなかった。
電子時計の日付はほぼ狂うことはないし、外の気候が物語っている。
「アスランってば……どこで花見するんだよ」
アークエンジェルの一歩外に出れば、雪がちらつき、息が白くなった。
「ここ」
「……」
「流石にコペルニクスまで行けないけど、それなりに似てないか?」
雪が手の平に落ちると体温ですぐに水になってしまうのは、桜が風に舞っていくのに似ていた。
これはきっと僕らが再会する為の儀式なのだ。
「アスラン」
「ん?」
「コペルニクスじゃなくても、また……桜、見に行こうね」
咄嗟に仰いだ空は灰色でも、2人には立派な花見だった。