[su_icon icon="icon: exclamation" background="#9c1423" color="#FFEA65" size="20" shape_size="6" margin="5px 10px 5px 0px" target="self"][/su_icon]「04 typeA 2つの道でも思いは1つ」の後
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時刻は夕暮れ時。
邪悪な色の空でも、部屋には確かにオレンジ色に近い光が差し込む。
美しい光景とは逆に、シュウトの顔は思いっきり引きつっていた。
「あのートールギス、さん?」
「何だ?」
「何で……――」
恥ずかしくて、その単語が口から出ない。
口が裂けても押し倒されている、なんて言いたくもない。
「なら、自分から脱げばいいだろう?別に全て脱げと言ってる訳ではないのだからな」
「だけどさ!一応、僕、体だけは男じゃないんだけど……」
「承知の上で言っている」
それならば、ますます性質が悪い。
シュウトも負けずと言い返す。
「じゃあ理由は?」
「魔法をかけるため、だ。喰おうというわけじゃないから安心しろ。まだ、な……」
トールギスはそう言うとにやりと笑うが、シュウトは「まだって……」と心の中で突っ込む。
とはいえ、自分で脱がなかったら無理やり脱がせるとわかっている。
「脱がないと駄目なの?捲る、とかは?」
「上まで捲るなら問題ない」
「上まで?!」
それは「脱げ」と言っていると一緒のことだ。
シュウトの反応を楽しそうに見ていたトールギスだが、とうとう無理やり、服を捲る。
「わーー!!!」
反射的に声が出すシュウトだが、恥ずかしさの余りに
抵抗することも無く、トールギス何事も無かったように捲った。
白い肌と成長途中と分かる膨らみかけた胸が露わになる。
自分でもあまり見た事がないのに、と思いながら、シュウトは精一杯、視線を泳がせた。
トールギスはそっと、シュウトの胸の間に手を置き、魔法を唱える。
手からもやもやとした金色の光が出りだすが、その光が収まるとトールギスは手を退かす。
「トールギス、何やったの?」
「聞くよりも、見た方が早い」
「え?だ、だけどさ……」
シュウトは恐る恐る、自分の胸を見る。
そこには、山吹色の羽を形取った印が刻まれていた。
「これは?」
「オレとグリフィンの力の一部をここに封じ込めた。これがあるモノはすぐに何処にいるかがわかる」
「そ、そうなんだ」
魔法を使われた時も痛いわけでも何でもなかったので、あまりしっくりこない。
「それに、水で洗い流そうと擦ろうと落ちないからな。これが消える時は――」
言葉が途切れたので、シュウトは印から目線をトールギスへと移す。
「これが消える時はオレがこの世から消えた瞬間ときだ」
「…………そ、っか……」
考えた挙句、シュウトはそれだけポツリと言葉をつぶやく。
「でも、君は強いからそんなことは無いと思うけどね」
「当たり前だ……」
強気な発言をした後、トールギスは先ほど刻んだ印の上にキスを落とした。