「よっ!」
「あれ?メリクリウス??」
部屋をたずねてきた人物は赤毛に短髪のメリクリウスだった。
しかし相棒のヴァイエイトと一緒じゃないとは珍しい。
「なぁなぁ、シュウトー!一緒に遊びに行こうぜ!」
「え?遊びに?!」
彼の遊び、という単語につい反応して瞳を輝かせて聞き返す。
「秘密で、だけどな……散歩、連れてってやるよ!」
暇暇暇暇のここでは彼が救世主、もちろんシュウトの答えはOKだった。
「あ!でもどうやって行くの?」
「それは問題なし!人の姿をしてても、魔法はつかえるからな」
そう言うと、メリクリウスはシュウトを抱きかかえ、部屋の窓から飛び立つ。
普通ならば、地面へ落ちる所だが、2人はふわりと浮かび、そう時間も経たないうちに城からは大分離れる。
「何処行きたい?って言っても、行く場所なんて限られてるか……」
「どこかあるの?」
「まぁな!国中が石化しているとはいえ、一部は石化が解けてきているところもあるからな」
「それはどうして?」
「……わかんねーけど、粗方は予想は付く。お!んじゃ、降りるぞー」
ゆっくりだが下降を始めたメリクリウスとシュウト。
それが怖いシュウトはぎゅっと瞼を閉じ、メリクリウスにしがみ付く。
「もう、大丈夫だ!」
抱きかかえていたシュウトを地面に下ろすとシュウトは目を開けた。
周りは石化している国とは思えない光景、芝生だった。
シュウトは思わず、その芝生に寝転がる。
空は相変わらずでも、気持ちが安らぐのを感じた。
「綺麗なところだね!」
自然と出てくる言葉だった。
国の現状を知っていても、知っているからこそ、そう思う。
隣にメリクリウスも腰掛け、空を仰ぐ。
「だろ? ダークアクシズの進行の前にもちょくちょく来てたんだ」
「そっか……。メリクリウス、連れてきてくれてありがとう」
「前に約束しただろ?」
シュウトは頭の記憶を探りに探る。
きっとラクロアで再会した時のことを言っているのだろう。
【 なら、今度、俺が連れて行ってやるよー! 】
彼は外に出たがっている自分にそういってくれた。
結局、その後、警告を破り外に出てしまったが。
「確かに約束したね。また、連れてきてくれる?」
「もちろんだ」
微笑んで返すメリクリウスを見て、シュウトも微笑み返した。
後日、メリクリウスと散歩に行った事がばれてしまい、
メリクリウスは仕事の量を増やされた上に1人で廊下の雑巾がけを命じられたらしい。