04 typeA 2つの道でも思いは1つ

「明日すぐに侵略しに行くわけではない。すぐに結論を出せとも言わん」

そう言ってくれて、嬉しかった。

心が軽くなったような気がしたから。

それでも時間は残されてないんだよね。

全ての謎は解けた。
彼がこの世界に連れてきた理由も、自分の気持ちも。
「その顔だと、聞いてきたんですね……」
ついさっき会い、別れたばかりのヴァイエイトとメリクリウスだ。
顔には少し痣とかすり傷に加え、メリクリウスに限ってはちょっとした切り傷がある。
「だ、大丈夫なの!?」
「ああ、こっちは平気!怪我すんのは慣れてるしな!」
「それに、あの人のことは心配要りませんよ」
ヴァイエイトが言う。
シュウトはあの人という言葉で、デスサイズのことだと分かってしまう。
メイリウスも思い出したように、手をぽんと叩きながら言った。
「あぁ、そうそう!デスサイズなら心配無用だぜ!
口に布、巻いて、ロープで簀巻きにした上に魔法をかけて、物置に突っ込んでおいたからな!」
何故か、その時の光景を容易に想像出来てしまうのが怖い。
「君がどんな決断をしようと、誰も文句はいいません」
さすが腹心の部下だけあって、トールギスのことは分かりきっているようだった。
「うん、ありがとう……」
刻々と時間だけが過ぎていく。
ダークアクシズも倒さなきゃいけない。
でも、彼とも一緒に居たい。

これは僕の、勝手な我が侭なんだよね。

シュウトはベットの中には居らず、外をずっと眺めていた。
きっと寝ようと思っても寝られないだろう。
月の光だけがキラキラと輝いている。
ネオトピアに帰るのが普通の選択だろう。
それでも想いがそれを邪魔する。
一緒に隣に居たい、そう思ってしまう。
「……まだ、寝てなかったのか?」
「……うん……」
こんな夜中に訪ねてくるのは彼しかいない。
「それに、眠れるわけ無いよ……」
「まだ、結論を急ぐ必要は――」
「ねぇ、トールギス……」
トールギスの言葉を遮るようにシュウトは話し始めた。
「トールギス、僕のこと、本当に好き?本当に好き?」
最後の方の方になると、声が薄れる。
「ああ、好きだ……」
きっとあの時と変わらず、真剣な顔で言っているのだろう。
決断から逃れたくて、どうにかなってしまいそうだった。
トールギスを見ると、月の光が金髪の髪の毛を照らし出し、幻想的だった。
見とれている間にトールギスはシュウトに腕を回し抱きしめ、そして唇に触れるだけのキスを送る。
「シュウト、オレの元にいろ。ラクロアはこんな状況だが、それでも……」
こういう言葉はちゃんとした女の子に言うべきだと思う。
それでも言われて嬉しい自分がいる。
「本当に……僕で……」
「…………」
トールギスは何も言わない。
が、ちゃんと抱きしめる腕に力が篭る。
確かに感じる。温もりを。