綱吉が雲雀を上手く修行に思考を向けさせてから5日以上経つ。
リボーンからの又聞きとはいえ報告を聞く限り、かなり順調らしい。
あれ以来、過去の雲雀とは接触していない。
(怒ってるだろうなぁ……)
実際にディーノは八つ当たりされ雲雀はあの”沢田綱吉”と催促していた。
続々とボンゴレの守護者や関係者が入れ替わる中、今日の天気は雨だった。
綱吉は定時になると、傘を持って周辺を見に出かける。
山本が入れ替わった翌日から人数が大幅に増えたことで周辺警戒が当番制になったのだ。
ランボとイーピンだけ、年齢的なことからペアで回ってもらっている。
街に出て何も変わってないと何度思ったことか、だが当然のことだ。
この時間は過去の自分が居るべき場所で、自分が居た時間なのだから。
丁度団地の曲がり角を通り過ぎるとふらふらと歩いてくる、見慣れた人物。
ばったり会ったことになるが、相手は意識が朦朧としているのかトンファーで殴りかかってはこない。
傘を被せると、綱吉は大きいため息をついた。
雲雀は雨が窓に打ち付ける音で目が覚める。
雨の中、屋上でディーノと戦って、その後見回りに出掛けてからの記憶がない。
外は土砂降りのようでカーテン越しでも予想出来てしまう。
どこだ、と疑問に思いつつ部屋の扉を開けみると、6人の視線が一斉にこちらに向いた。
ランボは雲雀を認識した瞬間、岩の様に固まって微動だにしない。
「ヒバ……リ?」
「あはは……10年前のヒバリだな」
味噌汁を盛り付けてる獄寺が思わず声を漏らし、フォローを入れたのは山本だ。
「……何群れてるの?」
((( 何も変わってない…… )))
そう、変わっていないのは当然なのに、心の中とはいえ思わずにいられない。
「あ~……道でふらついてたから連れて来ちゃった……」
6人の視線が綱吉に向けられる。
乾いた笑いをしていた、次の瞬間、目の前に自分の髪の毛がハラリと落ちた。
壁にあってはならない穴が開いてるのを見て、銃を発砲したのだと気づいた。