ロロは窓から照らす陽で目を覚ます。
起き上がろうとすると一瞬視界が朦朧としてから、はっきりする。
ここの所は朝から晩までずっとこの調子。
体調が悪いと思って長く寝てみても改善は見られず、ルルーシュは医者に掛かることを進められたが断った。
以前ギアスの弱点を話したが“もう1つ”の弱点については察することはない。
(こんなに自分の身体が弱ってたなんて……)
怖かった
この恐怖を誰とも分かち合えないなんて
「大丈夫なのか?!」
仕切りのカーテンを開けてルルーシュは血相を変えてロロを見る。
「兄さんは心配しすぎだよ。僕は何ともないよ」
「本当か?」
心配の色が伺えるアメジストの瞳に見つめられると嘘を付くのが苦しい。
「うん……」
ベットのロロの隣に腰掛けたルルーシュは優しく頭を撫でた。
それは夢の感覚と似てる穏やかなもの。
「そんな顔をする時は何かあった時ぐらいだ。何があった?」
「兄、さん……」
ロロは頭を撫でてる手を掴みベットへと全身を押し倒す。
「ロロ?!」
動揺した顔で明らかに先ほどとは声色が違っていた。
それなりに抵抗はしているようだが訓練を受けている自分にとって非力な人間を押さえ込むのは簡単だ。
暴れる姿はこういう行為に慣れていないことを表し、隠している想いを爆発される引き金。
輝く瞳に映りこむ自分を確認すれば、確かに“ロロ”という存在を見ているんだと実感する。
「兄さんがいけないんだよ?僕を人間らしくするから……」
ルルーシュは名前を呼ぼうとしたようだったが、気にも止めなかった。
そっと、優しく口付ければ波打つ鼓動と体温がお互いに伝わる。
「ギアスの副作用で僕の命はもう長くないんだ」
「何を言ってるんだ……それより退いてから話せばいいだろう?」
顔が引きつった笑顔は何を考えてるか瞬時に解る。
「嫌だ!!退きたくない……嘘じゃないよ!僕のギアスは発動と同時に心停止する」
「お前が……死ぬっていうのか?」
呆然としてるルルーシュに躊躇いなく深く口付ける。
「ロロっ!?――~~……」
瞳を強く閉じて顔を桃色に染めれば、こんな姿を見るのは自分だけだと優越感。
仕草や行動の1つ1つが自分を煽らせるだけで、ずっと感情が暴走しそうだった。
「愛してる……ルルーシュ……。家族として、恋愛対象として」
顔を離してお互いに切なそうな表情なまま。
ただただ無言のままルルーシュはロロの背中に腕を回し、抱き返すしか出来なかった。