何も変わらない

扉を開けた向こうに愛しかった君はいた。

「ルルーシュ……」
「7年ぶりにこれ使ったよ」
首襟を持ち上げながらルルーシュは言う。
そんな昔に浸ることはスザクにとって、本当に久しぶりのことだった。
「スザク?」
無言のスザクを不思議に思うルルーシュが問いかける。
「スザク、どうし――?!」
突然の口付け。
スザクの腕はがっしりと腰に回っていて振りほどこうにも上手くいかない。

校舎に響く時計の音だけがやけに耳に響く。
「――スザク!突然することないだろ!」
「ごめん。あまりに久しぶりだから……つい」
その言葉はルルーシュも同感だった。

シンジュクでの出来事はあまりに突然過ぎて何が何だかわからなかった。
ルルーシュがそっとスザクの胸に顔を埋める。
この行為も7年前と何も変わらぬままだった。
「スザク、会いたかった。冤罪で捕まった時もどうすればいいかと……」
「でも俺はこうやってここにいる、だから大丈夫だよ」
ルルーシュに回した腕の力が強くなる。
いつからだろう?
男同士なのにこんなに力の差が離れたのは。
昔も体力馬鹿ってよく言われたっけ、その光景がスザクにちらつく。
「また離れるなんてことないのか?」
その少し甘いような声で囁かれて、スザクはドキリとした。
「ああ、ないよ。僕はここにいる」

“俺はここにいるよ”

7年前の約束は何も変わらない。