矛盾と循環の輪

きっと全て解っている筈だった。

きっと。

彼の反対を押し切って、地球で暮らし始めた僕。

僕は敵味方関係なく、同胞を、そして人間を殺した。

ちゃんと罪を償わなくちゃいけないと思った。

そばに居たくても。

それが先だと、きっと分かってくれるだろうと信じているから。

地球でもプラントでもブルーコスモスに狙われた。

“最強”
それがあるから、今まで生き延びれたのだろうか?

地球に降りて2年近くになる頃、僕はザフトの軍事管理のサーバーにアクセスしていた。

軍には常に情報が送られてくる。

もちろん、ブルーコスモスの情報も。

その情報を頼りに、今まで逃げ延びている。

カガリとアスランがお忍びで、プラントに行くのも知っていた。
その時間帯にガンダムが奪取されるのも。
それ以前に、ザフトがガンダムを作成していたことも知っていた。

けれど、1つ見落としていた。
彼が軍に戻っていた事を。

それを知ったのはつい最近だった。
データは以前からあった筈なのに、名簿は普段アクセスしないデータバンクにあったから気にも止めなかった。

プラントの議会に行ったんじゃ?

オカシイ。

彼は赤服でも一般兵でも無い、隊長クラスの軍服の袖に腕を通していた。

やっぱり、皆戦場へ戻るのかな?

襲われたから、逆にやり返す?
どうして断ち切れない?

「僕も……人のこと、言えないけどね……」

僕がまた「戦場へ戻る事」。

君との再会があの場所じゃなければ良いと、どれだけ望んだか。

決まっている運命。

断ち切れない運命。

 

 

 

 

矛盾と循環の輪