唇に噛み付くように口付けると綱吉は酷く驚いたようで、雲雀を跳ね除けようとしたが叶わない。
「ヒバリさん……」
「なに?」
今日は1月8日で冬休みより前に雲雀から誘ってくれたデートの日だ。
記念日でもあると思う。なのにこんな状況になっているのは何故だろう。
程まで隣町のショッピングモールに出かけていた。
「ケーキも昼食も美味しかったです!」
「そう?ならよかったけど……」
歯切れが悪いので「どうかしたんですか?」と尋ねたら
「わがままっていうほどのわがままじゃないからもっと言っていいと思ったんだけどね」
と返されて嬉しい反面申し訳なく感じた。
綱吉にすれば随分と言っているのだが。
ゲームセンターや書店、連れて行くお店は雲雀が普段行かないであろう場所ばかり。
いや、風紀委員会の仕事では行っているかもしれない。
ちょっと変わったわがままにすれば、雲雀も納得するのではないか――という結論に達した。
「なら、今の気持ちが知りたいかな……とか!ハハハ……」
乾いた笑いに繋げたが返事が無く、不安で顔を上げた瞬間――腕を捕まれ愛車に乗せられる。
目まぐるしい勢いで連れてこられた場所は並盛中の応接室だった。
馴れた手付きで服を剥ぎ取られたら瞳を閉ざすしかない。
胸の膨らんだ部分を摘まれれば自然と甘い声が漏れる。
その声と愛撫が手伝って羞恥心は爆発寸前だった。
「あ、ヒバ……リさん……!」
涙が頬を伝っても雲雀は優しく拭い、抱きしめながらキスをする。
唇から離せばそのまま耳に息を吹きかけながらそっと舌で刺激を与えた。
ビクリと飛び跳ね高潮した綱吉を見てしまったらもう止められない。
「……くぅ、……はぁ……っ」
下半身へ手を移動させ既に硬くなっているモノを触れば「駄目ですって!」と震えた声が聞こえた。
それでも撫でて触るうちに硬さも増し、綱吉もとろけそうな表情に変わった。
「どれだけ君が可愛いか……どれだけ君を愛してるか。感じてくれるよね?綱吉」
身体の一部が肌寒いのだが、何かに包まれていることを認識して綱吉は目を覚ました。
「ん……ヒバリさん?」
少し擦れた声で名前を呼ぶとゆっくりと瞼は開く。
どうやら寝ていたわけではないようだ。
「おはよう綱吉、無理させちゃったかな」
「え……あ……」
綱吉は正直に「本当に無理させましたね」ともお世辞で「そんなことないです」とも答えられず、無言のまま目線を泳がせる。
「喉も渇いただろう?今……」
「あの!もうちょっとだけ……」
抱き上げていた格好からソファーに下ろそうとした雲雀を軽く掴む。
掴んだ後で「しまった!」と思ったが、今日はわがままを言っていい日なんだと言い聞かせる。
何も言わず強く抱きしめる雲雀に身を預けることはとても心地良い。
「ヒバリさん、オレ本当に幸せです!本当にありがとう」
少しでも伝わっただろうか、この気持ちは。
先程の行為で雲雀がどれだけの気持ちをぶつけたのかは計り知れない。
それが嬉しかった。
「僕もだよ綱吉……愛してる。離さない」
外は夕暮れどき、もう少しで家に帰ることになる。
時が止まればなんて乙女チックが浮かんできて、代え難い幸福を感じた。